イムノタクトイド腎症・細線維性糸球体腎炎

内科学 第10版 の解説

イムノタクトイド腎症・細線維性糸球体腎炎(その他のパラプロテイン血症の腎障害)

(3)イムノタクトイド腎症・細線維性糸球体腎炎
 イムノタクトイド腎症(immunotactoid glomerulopathy)と細線維性糸球体腎炎(fibrillary glomerulonephritis)は,Congo-red染色陰性のアミロイド様の線維性構造物の沈着を糸球体に認める疾患である.発生機序は不明であるが,免疫グロブリンやその構成成分などが結晶化し糸球体に沈着するものと考えられている.光顕では膜性増殖性糸球体腎炎類似の組織像を呈する.確定診断には電顕が不可欠であり,イムノタクトイド腎症では32~50 nm幅の微小管状構造物が糸球体基底膜やメサンギウムに沈着し,細線維性糸球体腎炎では18~22 nm幅の線維性構造物が同様の部位に沈着する.イムノタクトイド腎症はリンパ増殖性疾患に伴うことが多く,しばしばパラプロテインが沈着するが,細線維性糸球体腎炎ではパラプロテインはまれである.[廣村桂樹・野島美久]
■文献
原 茂子,他:クリオグロブリン血症.日内会誌,94: 58-66, 2005.
小松田 敦,他:単クローン性免疫グロブリン沈着症.別冊日本臨牀,腎臓症候群(第2版)下,18: 435-438, 2011.
田口 尚:細線維性糸球体腎炎/イムノタクトイド糸球体症. 腎生検病理アトラス (日本腎臓学会・腎病理診断標準化委員会 日本人病理協会編),pp163-167,東京医学社,東京,2010.

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