改訂新版 世界大百科事典 「インキジェット印刷」の意味・わかりやすい解説
インキジェット印刷 (インキジェットいんさつ)
ink jet printing
圧力(印刷圧)を加えないで行う印刷方式の一種。インキの微細な粒子をノズルから噴射させ,印刷用紙上に打ちつけてドットパターンを形成することによって印刷を行う。印刷位置の移動は,ノズルを中心に構成された印字ヘッドを水平方向に送行させるか,あるいはヘッドを固定して用紙をドラムに巻きつけ回転させることによって行われる。インキ粒子の制御方法によって,荷電制御方式とオンデマンド方式とがあり,前者ではインキ粒子を連続的に噴射させながら信号パルスに応じて帯電させ,偏向電極の間を通過させて用紙上の所定位置に打ちつけ,不用な粒子はガターと称する回収器のほうへ収容することによりドットマトリックスを用紙上に形成する。後者のオンデマンド方式では電歪振動子を用いて信号パルスでインキ粒の噴射を制御し,ドットマトリックスを形成する。いずれも文字のみでなくグラフや図形の印刷も可能で,さらに黄,マゼンタ,シアンおよび黒のインキを,それぞれに対応したノズルから噴射することにより,低価格で品質のよいカラープリンターをつくることができる。
執筆者:林 英治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報