日本大百科全書(ニッポニカ) 「インド・アーリア系諸語」の意味・わかりやすい解説
インド・アーリア系諸語
いんどあーりあけいしょご
インド・ヨーロッパ語族のなかのインド・イラン語派に属し、主としてインド亜大陸に分布する語群。最古の文献には、紀元前12世紀ごろに成立したと考えられるバラモン教の賛歌集『リグ・ベーダ』g-vedaがある。また、インドのみならず世界の文化史上でも重要な地位を占めるサンスクリット語や南方(上座部)仏教教典の用語たるパーリ語、ジャイナ教教典が書かれたアルダ・マーガディー語Ardha-māgadhīもこの系統の言語である。現在各国の公用語として使用されているヒンディー語(インド)、ウルドゥー語(パキスタン)、ネパール語(ネパール)、シンハラ語(スリランカ)、ベンガル語(バングラデシュ)などはすべてこの語群に属し、欧州各地で話されているロマニ(俗称ジプシー)語もこれに含まれる。
[奈良 毅]
『Sir G. A. GriersonThe Linguistic Survey of India, 20 vols. (1903~1928, Government of India)』▽『S. K. ChatterjiLanguages and Literatures of Modern India (1963, Prakash Bhavan, Calcutta)』▽『奈良毅著「インド亜大陸の諸言語」(北村甫編『講座言語 第6巻 世界の言語』所収・1981・大修館書店)』