日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウルドゥー語」の意味・わかりやすい解説
ウルドゥー語
うるどぅーご
Urdu
アーリア系諸語の中央グループに属する言語で、パキスタンの公用語であると同時に、インドの公用語でもある。現在のデリーを中心とする地方で話されていたカリー・ボーリー語Khaī-Bōlīは、14世紀以降デカン高原に出現したイスラム王朝が発達させた宮廷文学語ダクニーDakhnīの影響を受けつつ、18世紀初頭までに北インド各地の王族ならびにイスラム教徒上層階級の共通語となっていった。ヒンディー語とまったく同じ文法構造をもちながらも、ペルシア語やアラビア語からの借用語をふんだんに取り入れている。またペルシア文字で書き表すウルドゥー語は、デリーに都を定めたムガル王朝の公用語として18世紀後半からその地位を高め、北インド各州の法廷語や教育語ともなる一方、数多くの優れた文学作品を生み出していった。なお、「ウルドゥー」とは本来「軍営地」を意味するトルコ語であるが、イスラム軍の共通語に対する名称となっていった。
[奈良 毅]
『鈴木斌・麻田豊著『日本語ウルドゥー語小辞典』(1992・大学書林)』