日本大百科全書(ニッポニカ) 「エグナー」の意味・わかりやすい解説
エグナー
えぐなー
Thorbjørn Egner
(1912―1990)
ノルウェーの児童文学者、挿絵画家。オスロに生まれ、初め小説の挿絵画家として出発したが、『ボーゴの古い家』(1943)の特異な案内書で注目され、自作の童謡に自分で絵も作曲もつけた『少年時代からの30の歌』(1951)で名声を得た。翌年その続集、続いて多くの詩を織り込んだ才気あふれる童話集『ハッケバッケ森の木のぼりネズミその他の動物』(1953)では、ノルウェー児童書の最優秀賞を受けて人気作家となった。上記童話集と『カルデモンム町の人々と泥棒たち』(1955)はドラマ化され、国際的な舞台でも成功をおさめた。後者に登場する「カルデモンムの掟」はエグナーの作家としてのモットーでもあった。それは、「他人を苦しめてはいけない、素直で親切であれ、人がしてほしいと思っていることをせよ」という考え方である。
1950~1972年に出版された『トルビョルン・エグナー読本』は初等教育向けの十六巻本である。多才であったが、児童本作家としての活躍がもっとも目覚ましい。挿絵も物語もエグナーの手になる児童書は、時代を越えていろいろな形で、ノルウェー児童文芸に彩りを与えている。