日本大百科全書(ニッポニカ) 「エーバン」の意味・わかりやすい解説
エーバン
えーばん
Jean François Œben
(1720ころ―1763)
ドイツ系のフランス人で、ロココの代表的家具師。1749年著名な家具師ラクロアの姉と結婚、51年ルーブルのシャルル・J・ブールの工房に入る。54年にはポンパドゥール夫人の尽力によって王室付きエベニスト(家具師)となる。その作品は多彩色の寄木細工と優美なブロンズ製飾り金具を特色とし、ルイ15世様式からルイ16世様式への過渡的様式を代表している。ルイ15世の注文のもとに制作された事務机(1760~69・ルーブル美術館)が代表作であるが、完成前に没したため弟子のジャン・リーズネルが仕上げを施した。なお、ロマン派の画家ドラクロアはエーバンの孫にあたる。
[篠塚二三男]