改訂新版 世界大百科事典 「オリーベクローナ」の意味・わかりやすい解説
オリーベクローナ
Karl Olivecrona
生没年:1897-1980
スウェーデンの法哲学者,訴訟法学者,ルンド大学教授。ヘーガーシュトレームによってその基礎が置かれた北欧リアリズム法学はオリーベクローナによって正統的・体系的展開が行われた。彼は師ヘーガーシュトレームの法実証主義批判を受け入れ,師が断片的にのみ示した権利概念分析を完成した。権利はそもそも意味上の指示物semantic referenceをもたない言葉であるから法実証主義やアメリカ・リアリズム法学のようにそれを社会的事実に還元できず,権利の学はその機能を問うことであるとして,それの立法技術機能,行為指示機能,情報伝達機能を明示した後,確認判決は権利の存否の確定ではなく行為指令であり,J.L.オースティンのいう〈行為遂行的performative〉であるとして,実体法と手続法の理論の統一を提示した。主著は,《事実としての法》(1939,第2版1971),《貨幣単位の問題》(1957)。
→リアリズム法学
執筆者:佐藤 節子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報