日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルブリッヒ」の意味・わかりやすい解説
オルブリッヒ
おるぶりっひ
Joseph Maria Olbrich
(1867―1908)
オーストリアの建築家。アール・ヌーボーのウィーン版「ゼツェッション」グループの中心的存在。トロッパウに生まれ、1890年ウィーンの美術学校に入学。やがてローマ賞を受けてイタリア留学。94年に帰国してのちはO・ワグナーの製図家として98年まで働き、師にその才能を注目された。独立した建築家としての最初の仕事は、98年に完成したウィーンの「ゼツェッション館」で、この作品によって彼の名は内外に広く知られた。99年、ドイツのヘッセン大公E・ルードウィヒに招かれて、大公が構想した「芸術家村」の建設責任者としてダルムシュタットに移った。ここで芸術家たちのほとんどの住宅と、大公館(1901)や大公結婚記念塔および展示館(1908)などを設計した。
[長谷川堯]