内外(読み)ナイガイ

デジタル大辞泉 「内外」の意味・読み・例文・類語

ない‐がい〔‐グワイ〕【内外】

うちとそと。「学校内外
国内国外。「内外同胞
数量時間などを表す語のあとに付いて、その数値に近い意を表す語。前後。くらい。「一週間内外ででき上がる」
[類語](2諸国列国各国万国両国列強世界万邦・国際社会・中外四海しかい八紘はっこう宇内うだい/(3ざっとおよそかれこれほぼ程度くらいばかりほどかた見当プラスマイナス

ない‐げ【内外】

[名](スル)
内と外。ないがい。
「造り道十余町を見下して―に鳥居を立てたり」〈盛衰記・三三〉
奥向き表向き
「―につけたる執権の臣とぞみえし」〈平家・一〉
朝廷や貴人の家などに出入りすること。
「―許されたる若き男ども」〈・一二〇〉
仏語。内典外典げてんまた、内教外教げきょう

うち‐と【内外】

内と外。内輪のことと表向きのこと。
「お恥ずかしながら―のことが不取締勝ちで」〈木下尚江良人の自白
仏教儒教。仏教の側からみていう語。
内外うちとの宮」の略。
その前後。ほぼそれぐらい。
「さる程に君は三十が―にて」〈愚管抄・七〉

うち‐そと【内外】

内部外部。ないがい。「家の内外を掃除する」
数量がほぼその程度であること。
五十年の―何して暮せばとて」〈浮・永代蔵・四〉

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精選版 日本国語大辞典 「内外」の意味・読み・例文・類語

うち‐と【内外】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 内側と外側。内部と外部。奥向きと表向き。私的と公的。うちほか。ないがい。
    1. [初出の実例]「うちとなる人の心ども、物におそはるるやうにて、あひ戦はん心もなかりけり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「兵衛佐の館へむかふ。内外(うちと)に侍(さぶらひ)あり」(出典:平家物語(13C前)八)
  3. ( ━する ) 許されて奥向きに出入りすること。
    1. [初出の実例]「御方々に皆内外し給へるうちにも」(出典:栄花物語(1028‐92頃)もとのしづく)
  4. うちと(内外)の宮」の略。
    1. [初出の実例]「かたそぎの千木は内外にかはれどもちかひは同じいせの神風〈度会朝棟〉」(出典:風雅和歌集(1346‐49頃)神祇・二一二二)
  5. 仏教と儒教。
    1. [初出の実例]「内外(ト)の道を見給ふるに、心は恩の為に仕はれ」(出典:観智院本三宝絵(984)序)
  6. あるものごとの前後。その近く。付近。多く数量的なものについて用いられる。ないがい。
    1. [初出の実例]「三町がうちとの物ははづさずつよう射けり」(出典:平家物語(13C前)一一)
    2. 「年もみな廿がうちとなり」(出典:たまきはる(1219))
  7. ( 「と(外)」は軽く添えた語 ) 家の中。→うちと(内外)の者

ない‐げ【内外】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「げ」は「外」の呉音 )
  2. ないがい(内外)
    1. [初出の実例]「八幡若宮へ参向す〈略〉内外(ナイゲ)に鳥居を立てたり」(出典:源平盛衰記(14C前)三三)
  3. 内向きと表向き。また、内心と外面。
    1. [初出の実例]「源左衛門尉渡とて一門なりけるが、内外(ナイゲ)に付けて申しければ」(出典:源平盛衰記(14C前)一九)
  4. ( ━する ) 朝廷や貴人の家などに出入りすること。
    1. [初出の実例]「何か。かかる宮仕仕うまつる人には、内げをこそゆるし給はめ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  5. 内典と外典(げてん)。内教と外教(げきょう)。内外典。
    1. [初出の実例]「内外(ナイゲ)の御祈さまざまなりといへども」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)上)
  6. 内位と外位(げい)
    1. [初出の実例]「凡内外五位以上勅授」(出典:令義解(718)選叙)
  7. 内官と外官(げかん)
    1. [初出の実例]「凡任内外文武官」(出典:令義解(718)選叙)

ない‐がい‥グヮイ【内外】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 内側と外側。内部に属するものと外部に属するもの。家や店の内のことと外のこと。国内と国外。うちと。ないげ。
    1. [初出の実例]「内外にたがはず、不思議なる歟」(出典:名語記(1275)五)
    2. 「わたくしなく内外(ナイグヮイ)ともに勤めければ」(出典:浮世草子西鶴織留(1694)二)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐襄公三一年〕
  3. 数量、時間などを表わす語に付いて、それに近いことを示す語。ぐらい。そこそこ。前後。
    1. [初出の実例]「今の参議殿や卿大輔殿も、十年前までは百斤内外の符徴なりしが」(出典:明治の光(1875)〈石井富太郎編〉二)

うち‐そと【内外】

  1. 〘 名詞 〙
  2. うちとそと。内部と外部。うちと。ないがい。
    1. [初出の実例]「内外(ウチソト)のとりさばき世上のそしりを思ふ事なく」(出典:浮世草子・人倫糸屑(1688)妾揚)
    2. 「御存(ごぞんじ)下ださいます通り家の内外(ウチソト)、忙しいもンですから」(出典:火の柱(1904)〈木下尚江〉五)
  3. だいたいの程度を表わす語。前後。ないがい。
    1. [初出の実例]「惣領の男子さへ十歳のうちそとにて」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品三三)

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普及版 字通 「内外」の読み・字形・画数・意味

【内外】ないがい(ぐわい)

内と外。内部と外部。〔左伝、襄三十一年〕衞詩(詩、(はい)風、柏舟)に曰く、威儀棣棣(ていてい)として (かぞ)ふべからずと。君臣上下(しやうか)、子兄弟、外大小、皆威儀るを言ふなり。

字通「内」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の内外の言及

【朝鮮】より

…その場合は舎廊棟(男の空間)は大門(外部)に近い方に,内棟(女子供の空間)はその後方に配置される。このようにして家の中ですら男女を隔離し,特に家族以外の男女の接触を避けることを〈内外(naewoe)する〉という。〈女は自分の故郷の市の立つ日を知らないほど良い〉ということわざもある。…

※「内外」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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