内外(読み)うちと

精選版 日本国語大辞典「内外」の解説

うち‐と【内外】

〘名〙
① 内側と外側。内部と外部。奥向きと表向き。私的と公的。うちほか。ないがい。
※竹取(9C末‐10C初)「うちとなる人の心ども、物におそはるるやうにて、あひ戦はん心もなかりけり」
※平家(13C前)八「兵衛佐の館へむかふ。内外(うちと)に侍(さぶらひ)あり」
② (━する) 許されて奥向きに出入りすること。
※栄花(1028‐92頃)もとのしづく「御方々に皆内外し給へるうちにも」
③ 「うちと(内外)の宮」の略。
※風雅(1346‐49頃)神祇・二一二二「かたそぎの千木は内外にかはれどもちかひは同じいせの神風〈度会朝棟〉」
④ 仏教と儒教。
※観智院本三宝絵(984)序「内外(ト)の道を見給ふるに、心は恩の為に仕はれ」
⑤ あるものごとの前後。その近く。付近。多く数量的なものについて用いられる。ないがい。
※平家(13C前)一一「三町がうちとの物ははづさずつよう射けり」
※たまきはる(1219)「年もみな廿がうちとなり」
⑥ (「と(外)」は軽く添えた語) 家の中。→うちと(内外)の者

ない‐げ【内外】

〘名〙 (「げ」は「外」の呉音)
※源平盛衰記(14C前)三三「八幡若宮へ参向す〈略〉内外(ナイゲ)に鳥居を立てたり」
② 内向きと表向き。また、内心と外面。
※源平盛衰記(14C前)一九「源左衛門尉渡とて一門なりけるが、内外(ナイゲ)に付けて申しければ」
③ (━する) 朝廷や貴人の家などに出入りすること。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「何か。かかる宮仕仕うまつる人には、内げをこそゆるし給はめ」
④ 内典と外典(げてん)。内教と外教(げきょう)。内外典。
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「内外(ナイゲ)の御祈さまざまなりといへども」
⑤ 内位と外位(げい)
※令義解(718)選叙「凡内外五位以上勅授」
⑥ 内官と外官(げかん)
※令義解(718)選叙「凡任内外文武官

ない‐がい ‥グヮイ【内外】

〘名〙
① 内側と外側。内部に属するものと外部に属するもの。家や店の内のことと外のこと。国内と国外。うちと。ないげ。
※名語記(1275)五「内外にたがはず、不思議なる歟」
※浮世草子・西鶴織留(1694)二「わたくしなく内外(ナイグヮイ)ともに勤めければ」 〔春秋左伝‐襄公三一年〕
② 数量、時間などを表わす語に付いて、それに近いことを示す語。ぐらい。そこそこ。前後。
※明治の光(1875)〈石井富太郎編〉二「今の参議殿や卿大輔殿も、十年前までは百斤内外の符徴なりしが」

うち‐そと【内外】

〘名〙
① うちとそと。内部と外部。うちと。ないがい。
※浮世草子・人倫糸屑(1688)妾揚「内外(ウチソト)のとりさばき世上のそしりを思ふ事なく」
※火の柱(1904)〈木下尚江〉五「御存(ごぞんじ)下ださいます通り家の内外(ウチソト)、忙しいもンですから」
② だいたいの程度を表わす語。前後。ないがい。
※甲陽軍鑑(17C初)品三三「惣領の男子さへ十歳のうちそとにて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉「内外」の解説

うち‐そと【内外】

内部と外部。ないがい。「家の内外を掃除する」
数量がほぼその程度であること。
「五十年の―何して暮せばとて」〈浮・永代蔵・四〉

ない‐げ【内外】

[名](スル)
内と外。ないがい。
「造り道十余町を見下して―に鳥居を立てたり」〈盛衰記・三三〉
奥向き表向き
「―につけたる執権の臣とぞみえし」〈平家・一〉
朝廷や貴人の家などに出入りすること。
「―許されたる若き男ども」〈・一二〇〉
仏語。内典外典(げてん)また、内教外教(げきょう)

うち‐と【内外】

内と外。内輪のことと表向きのこと。
「お恥ずかしながら―のことが不取締勝ちで」〈木下尚江良人の自白
仏教儒教。仏教の側からみていう語。
内外(うちと)の宮」の略。
その前後。ほぼそれぐらい。
「さる程に君は三十が―にて」〈愚管抄・七〉

ない‐がい〔‐グワイ〕【内外】

うちとそと。「学校の内外
国内と国外。「内外の同胞」
数量・時間などを表す語のあとに付いて、その数値に近い意を表す語。前後。くらい。「一週間内外ででき上がる」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

緑酒

〘名〙 緑色の酒。よい酒。うまい酒の色としていう。※菅家文草(900頃)五・雨晴対月「緑酒猶催醒後盞、珠簾未レ下暁来鈎」※一高寮歌・嗚呼玉杯に花うけて(1902)〈矢野勘治〉「嗚呼玉杯に花うけて 緑酒...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android