カヌリ族(読み)カヌリぞく(その他表記)Kanuri

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カヌリ族」の意味・わかりやすい解説

カヌリ族
カヌリぞく
Kanuri

ナイジェリア北東部のボルヌ地方からチャド湖西岸にかけて住む長身の黒人民族。人口約 400万と推定される。言語はナイロ=サハラ語族カヌリ語を話す。 11世紀以来イスラム教徒で「マリカイト法典」を重んじ,16世紀にはボルヌ帝国を栄えさせた。農耕民であるが商業にも通じ,交易都市マイドゥグリはその中心地。社会は階級化され,祭政を握るシェフ一家が王家を形成し,さらに貴族階級がある。大部分平民であるが,植民地化されるまでは奴隷階級もあった。親族集団は重要ではなく,富裕な上層世帯主が多くの人々の中心となる。一夫多妻制で4人まで妻をもつ。妻たちはそれぞれの家をもち,1つの屋敷内に住む。

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世界大百科事典(旧版)内のカヌリ族の言及

【ニジェール】より

…10~11世紀には早くもイスラムが入り,都市住民は改宗したが,村落部にまで行き渡ったのは19世紀である。 ハウサ,ソンガイ,ジェルマ,カヌリ族Kanuriなどの農耕民は,土壌の肥沃な南部を占め,ミレット,モロコシなどの雑穀を主作物として栽培するほか,ラッカセイやワタなどの商品作物を生産している。ソンガイはニジェール川で,カヌリはチャド湖での漁労も行う。…

※「カヌリ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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