改訂新版 世界大百科事典 「カハリエジャーミー」の意味・わかりやすい解説
カハリエ・ジャーミー
Kahariye Camii
トルコ西部,イスタンブールの旧市街の北にあるモスク。コーラ修道院Christos tes Chorasともいう。内部を飾るモザイクはパレオロゴス朝(1261-1453)美術の代表作。創建は5世紀にさかのぼるが,11世紀には荒れ果て,イサキウス・コムネノスの姪マリア・ドゥカスにより12世紀初めに再建された。さらに第4回十字軍のコンスタンティノープル占領(1204-61)による荒廃後,アンドロニコス・パレオロゴス統治下の1315-21年に財産管理長官テオドロス・メトキテスが私財を使って改装し,現在の形となった。このとき外側のエクソ・ナルテックス(外玄関間)をつけ加えてモザイク装飾を施し,同時に南側礼拝堂(パラクレゼイオン)を増築してフレスコ壁画で飾った。15世紀以来モスクとして使用されたが,1948-59年に,アメリカのアンダーウッドの指導の下に修復および清掃がなされ,モザイクは制作当時に復元された。ナルテックスの〈聖母伝〉,エクソ・ナルテックスの〈キリスト伝〉のモザイク,パラクレゼイオンのキリスト復活や審判の壁画などが知られる。
執筆者:長塚 安司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報