改訂新版 世界大百科事典 「カヤンデル」の意味・わかりやすい解説
カヤンデル
Aimo Kaarlo Cajander
生没年:1879-1943
フィンランドの森林学者,政治家。ヘルシンキ大学で教授として森林保護に関する調査研究をすすめた。森林の分類に関する彼の理論は著名であるが,独立まもない国政にも緊密に参加した。1929年より国会議員をつとめ,進歩党の議員団団長などをへて,37年農民党のカリオKyösti Kallio大統領のもとで進歩党・農民党・社会民主党の連立内閣首相に就任した。国民年金法の制定,フィン語・スウェーデン語間の言語闘争を終結に導いた大学に関する言語法の制定など,内政面では成果をあげた。外交面では,ファシズム勢力の台頭により国際連盟の威信が失墜すると,フィンランドは北欧諸国とともに武装中立の立場をとった。しかし,レニングラード防衛に重大な関心をもつソ連は,39年ドイツのポーランド侵攻を機に,フィンランドに大幅な領土交換を要求。モスクワでの交渉は決裂し,第1次ソ・フィン戦争勃発とともにカヤンデル内閣は総辞職した。のち没年まで進歩党委員長をつとめた。
執筆者:玉生 謙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報