改訂新版 世界大百科事典 「ガラービーヤ」の意味・わかりやすい解説
ガラービーヤ
gallābīya
アラビア語のジルバーブjilbāb(衣服)がなまったエジプト方言で,正しくはガッラービーヤ。伝統的なアラブの服は,その土地の風土や生活様式にかなった,ゆったりとした長衣であるが,衿の形,布地の種類,裁断の仕方等によって区別され,それが着用される地域や職能や社会的地位を判別できるものとなっている。しかしガラービーヤといえば,エジプト農民のまとう服を指すことになる。一つはバラディーと呼ばれ,円くえぐった衿ぐりは絹糸で縁取りがしてある。衿元から下着がのぞくが,これはスデイリーという胴着で,絹糸をくくってつくった小さなボタンが30個余りもついており,胸に大きなポケットがついている。もう一つはアフランギーと呼ばれ,ワイシャツの形を取り入れたもので,ちょうどシャツをそのまま裾長にした形をしている。バラディー型が農民の着用するものであるのに対し,アフランギー型は村の教師,農協の職員が着ている。ガラービーヤ・ザルカー(青いガラービーヤ)という言葉をよく聞くが,これはキャラコ地のものをインディゴで染めたために青くなったもので,農民の仕事着を意味し,やがてエジプトの農民の代名詞ともなった。
執筆者:奴田原 睦明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報