キテ(読み)きて(英語表記)kite アイヌ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キテ」の意味・わかりやすい解説

キテ
きて
kite アイヌ語

アイヌ民族が鯨などの海獣や大形魚類の漁に使用した回転離頭銛(りとうもり)。鉄製などの刃先をつけた骨角製・木製の銛頭(もりがしら)、その尾部の茎槽(けいそう)に差し込む中柄、中柄に緊縛される長柄、そして銛頭にあけられた索孔から射手までをつなぐ索縄(さくじょう)からなる。銛頭が獲物に射込まれると、中柄から離脱して獲物の体内に残る。射手が索縄を引き、一方獲物が逃げようとすると、銛頭は獲物の体内で索孔を支点に半転し抜けにくくなる。鯨漁の場合など、トリカブト毒を塗り、家紋を刻んだキテを次々と何本も打ち込んで凄絶(せいぜつ)な漁となったという。環北太平洋諸地域とくにオホーツク文化の銛の伝統を受け、14~15世紀に基本形は成立したと思われ、初期のものは茎槽が開窩(かいか)式で、かつ索孔が縦ないし斜位に並ぶものが多い。

[菊池徹夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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