海獣(読み)カイジュウ

  • かいじゅう ‥ジウ
  • かいじゅう〔ジウ〕
  • 海獣 marine mammals

世界大百科事典 第2版の解説

海洋を生活域とする,いわゆる海生哺乳類の総称。基本的には陸上動物としての生活に適した哺乳類の特徴(肺呼吸胎生など)を備えながら,水中生活に二次的に適応した動物群。水中生活への適応の程度は,種類によってさまざまで,クジラ類のように,水中生活に高度に特殊化した魚型の体型をもつものから,ラッコやホッキョクグマのように,水中生活者としての進化史が浅く,陸上動物とあまり変わらない体型をもつものまでが含まれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海にすむ哺乳(ほにゅう)類の総称で、クジラ目、海牛目、鰭脚(ききゃく)目、デスモスチルス目、食肉目イタチ科の一部が含まれる。海獣には終生陸にあがらないものと、少なくとも繁殖期には陸にあがるものとがある。前者には、クジラ、イルカなどのクジラ目約76種と、有蹄(ゆうてい)類の先祖(顆節(かせつ)類という絶滅動物)から分かれ出たと推定されるジュゴン、マナティーなどの海牛目約5種とがある。一方、後者には、食肉類から分かれ出たアシカ、オットセイ、トド、セイウチ、アザラシなどの鰭脚目約34種、海牛目に似るがりっぱな後肢のあるデスモスチルス目(絶滅)、食肉目イタチ科のラッコ、一部のカワウソ、1860年ごろ絶滅した北アメリカ(メーン州)のウミミンクなどが含まれる。

 第三紀始新世下部(前期)に出現したクジラ目はもっとも高度に海生に適応していて、後肢がなく、尾がひれに変わり、口の周りを除いて毛がない。始新世中部(中期)に出現した海牛目は海生への適応度がやや低く、体に毛がまばらに生え、前肢は手根部が可動性で、ときにつめを備えている。海牛目によく似たデスモスチルス目、および鰭脚目ははるかあとの中新世に現れたもので、後者は体に毛を密に生じ、後肢がひれになっている。イタチ科の海獣はさらに遅く海に進出したものと思われる。

[今泉吉典]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 海にすむ哺乳類の総称。四肢がひれ状であるなど海中生活に必要な形態や機能を備える、鯨類(クジラ・イルカ)、食肉目鰭脚(ききゃく)類(アザラシ・オットセイ・トドなど)、海牛類(ジュゴン・マナティー)をいう。
※志都の岩屋講本(1811)上「中には甚(いと)(あやし)き海獣の類なども寄来て」 〔宋史‐五行志・一・下〕

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