キャレル(読み)きゃれる(その他表記)carrel

図書館情報学用語辞典 第5版 「キャレル」の解説

キャレル

13世紀ヨーロッパの修道院では通路中庭を隔てる柱のすきまを,修道士が読みものや書きものをする際に使うようになり,やがて板で区切られた個人用の空間として利用されるようになった.キャレルはこうした狭い小部屋の呼称で,図書館内の個人用閲覧室や,転じて書庫内の閲覧者用デスクを指すようになった.落ち着いて利用できるように1人用のデスクであったため,現在では書庫内になくとも1人用のデスクをキャレルと称することもある.大学図書館や専門図書館,都道府県立図書館などで主に設置されている.大学図書館では,教員や論文作成の学部学生,大学院生に期間を限定して専用させることもある.車椅子に乗ったまま利用できるような身体障害者用のキャレルもある.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のキャレルの言及

【図書館】より

… 中世の西欧では,全般に書物が希少なこともあって,扉付きの本棚に書物をねかせて収蔵した。修道院では修道士の手で写本が行われていたため,本の戸棚を置く図書室と写字室(写本工房)は併設されることが多く,また8世紀ころからは書き物机の使用が普及し,戸棚と机が結びついたキャレルcarrelのような設備も考案される。本の使用がより頻繁な大学の図書館などでは,13世紀ころには戸棚が廃され,書見台に書物を鎖で固定しておく形式が一般的となった。…

※「キャレル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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