改訂新版 世界大百科事典 「クロロパラジウム酸塩」の意味・わかりやすい解説
クロロパラジウム酸塩 (クロロパラジウムさんえん)
chloropalladate
酸化数+Ⅱおよび+Ⅳの化合物が知られている。
テトラクロロパラジウム(Ⅱ)酸塩
化学式MⅠ2[PdCl4](MⅠは1価陽イオン)。塩化パラジウム(Ⅱ)と金属の塩化物との混合水溶液を加熱蒸発すると得られる。一般に黄色または褐色の結晶。ナトリウム塩は水に易溶,エチルアルコールにも溶ける。[PdCl4]2⁻は極性溶媒中では溶媒和して6配位構造をとっている。ナトリウム塩Na2[PdCl4]は褐色の潮解性結晶。カリウム塩K2[PdCl4]は黄金色針状晶で,完全に乾燥していると安定で,融点524℃。アンモニウム塩(NH4)2[PdCl4]は黄緑色正方晶系結晶である。
ヘキサクロロパラジウム(Ⅳ)酸塩
化学式MⅠ2[PdCl6]。一般にMⅠ2[PdCl4]水溶液に塩素ガスを通すと得られる。多くは赤色結晶。加熱すると分解してMⅠ2[PdCl4]と塩素ガスとを生ずる。水溶液も加熱すると塩素ガスを生ずる。カリウム塩K2[PdCl6]は褐赤色立方晶系結晶で,水によく溶ける。アンモニウム塩(NH4)2[PdCl6]は赤色で,水に難溶性の結晶である。
執筆者:近藤 幸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報