日本大百科全書(ニッポニカ) 「グドムンズソン」の意味・わかりやすい解説
グドムンズソン
ぐどむんずそん
Kristmann Gudmundsson
(1902―1983)
アイスランドの小説家。スベールフェットルに生まれる。家庭的に恵まれず、13歳で家を出て、職業を転々とし、餓死線上をさまよいながら書くことを学ぶ。22歳でノルウェーに渡り、ノルウェー語で書いた短編集『アイスランドの恋』Islandsk Kjærlighet(1926)で一躍文名を高める。1936年アイスランドに戻り、多くの短編、詩、15巻にあまる長編小説を書いたが、ロマンチックな男女の恋やアイスランド史に取材した歴史小説が多い。おもな作品をあげると、『花嫁の衣装』Brudekjolen(1927)、『明るい夜』Hvite netter(1934)、『冬の日々』Skammdegi(1966)、『星の船。宇宙船物語』Stjörnski pið.Geimferðasaga(1975)など。それらにはいつもみずからの情熱との葛藤(かっとう)に苦しむ人物が登場し、ペシミスティックではあるが、純粋な愛や単純な生活への憧れを忘れない人びとを描いている。作品は30か国語以上に翻訳された。
[谷口幸男]