改訂新版 世界大百科事典
「ケルンリンデンタール」の意味・わかりやすい解説
ケルン・リンデンタール
Köln-Lindenthal
ドイツのケルン市西部にある新石器時代初頭(線帯文土器文化=ダニューブⅠ・Ⅱ文化)の集落遺跡,炭素14法による測定年代で前4000-前3000年代。麦を栽培し,牛,豚などの家畜を飼った新石器時代の村の規模全体が,1929-34年のブットラーW. Buttlerらの発掘調査によってヨーロッパで初めて明らかにされ有名になった。北集落(2670m2)と南集落(8270m2)で合わせて50軒の長い家屋(長さ30m以上,最大幅7m)が見いだされた。これらは同時に存在したものでなく数時期にわたっている。大多数の家が長軸を北西-南東に向けるのは北西風を避けるためという。多数の竪穴があり当初は住居と解されたが,今ではごみ穴とみなされている。時期が新しくなると北・南集落ともに環濠がめぐらされ南集落は濠の内側に土塁も築かれた。農耕文化の発展が社会の緊張を招き,集落が防御的性格をおびたことを示している。
執筆者:佐原 眞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のケルンリンデンタールの言及
【竪穴住居】より
…95個のマンモスの頭骨を積み重ねて床を囲い,屋根はマンモスの大腿骨や牙を用いて高さ約3mのドーム形に覆い,竪穴同様の家屋を造って寒さや外敵から身を守っていた。 ヨーロッパの新石器時代ダニューブ文化期に属する,ドイツのケルン近郊にある[ケルン・リンデンタール]遺跡は,村落構造がよく復原された代表例である。そこでの一般的な住居は,大型の長方形平面で屋根は切妻,編枝塗壁を立ち上げ,杭の上に低い床を張った一種の高床住居であった。…
【ダニューブ文化】より
… ダニューブ文化の古い段階(チャイルドのいうダニューブI文化)は,炭素14法による測定年代で前4500~前3200年である。線帯文土器Linearkeramik,靴に似た形の磨製石斧,地中海産巻貝の装飾品,ロングハウス(長さ40m,幅6~7m),側面屈葬による埋葬という共通した特徴をもつチェコのビラニイBylany(プラハ東南東60km),ドイツの[ケルン・リンデンタール],オランダ最南部のシッタルトSittardなどの集落遺跡も知られている。また焼畑農耕を基盤とする農耕を営んだと考えられる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」