日本大百科全書(ニッポニカ) 「サキャ全書」の意味・わかりやすい解説
サキャ全書
さきゃぜんしょ
チベット仏教(ラマ教)の一宗派サキャ派の五祖師の全集叢書(そうしょ)。五祖師とはサチェン・クンガーニンポ(1092―1158)、ソナムツェモ(1142―82)、タクパゲンツェン(1147―1216)、サパン・クンガーゲンツェン(1182―1251)、パスパ・ロトゲンツェン(1235―80)であり、特殊な奥義(おうぎ)を除いた各人の著作を全15帙(ちつ)に収める。ゴル寺のタシフンドゥップの勧めにより、デルゲのテンパツェリン王がデルゲ・フンドゥップテン寺で1736年に開版した。12、13世紀ころのサキャ派とチベット仏教研究の基礎資料で、ゴルチェン・クンガーサンポ(1382―1450)とコラムパ・ソナムセンゲ(1429―89)の全集などとともに複製出版されている。
[原田 覺]