山川 世界史小辞典 改訂新版 「サルマタイ」の解説
サルマタイ
Sarmatai
前4~後4世紀,黒海北岸にいたイラン系遊牧民。前7世紀末からウラル南部にいたサウロマタイに前4世紀頃東方から移動してきた遊牧民が加わって形成されたらしい。前3~前2世紀にはスキタイをクリミア南部とドナウ河口に押し込め,ウラルからドナウに至る草原を支配したが,実際にはアオルソイ,シラケス,王族サルマタイなどの集団に分かれていた。スキタイとはやや異なる動物文様の金製品が知られているが,青や赤の石を象嵌した多色様式が特徴である。1世紀に東方から登場したアラン(中国史料の阿蘭)がサルマタイの一部であったかどうかは異論もあるが,やはりイラン系であった。4世紀にフンに征服されたが,アランの一部はカフカースでオセット人の祖先となった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報