日本大百科全書(ニッポニカ) 「しぎ焼き」の意味・わかりやすい解説
しぎ焼き
しぎやき / 鴫焼
ナス料理の一つ。しぎ焼きは本来、シギを焼いた料理をいったもので、1535年(天文4)の『武家調味故実』に「鴫壺(しぎつぼ)の事、漬けなすびの中をくり抜き鴫の身を作りて入るべし、柿(かき)の葉を蓋(ふた)にしてかいぐることあり、藁(わら)のすべにてかいぐるなり、石鍋(いしなべ)に酒を入れて煮るべし」とある。しかし、それより後に出されたと思われる『庖丁聞書(ほうちょうききがき)』には「鴫つぼ焼といふは生なすびの上に枝にて鴫の形を作りて置くなり」とあり、シギは使われていない。現在のしぎ焼きは、ナスを薄く切り油をつけて直火(じかび)焼きにし、その上に調味みそをつけたもの。しぎ焼きは直火焼きにしないと真味が出ない。
[多田鉄之助]