日本大百科全書(ニッポニカ) 「シバルガンの遺宝」の意味・わかりやすい解説
シバルガンの遺宝
しばるがんのいほう
Shibarghan
北部アフガニスタン、シバルガン市にあるチャリ遺丘から発見された、目もくらむばかりに華麗な古墓出土の副葬品をいう。年代は紀元前後、揺籃(ようらん)期クシャン朝バクトリアと考えられている。1979年、ビクトル・サリアニジを長とするソ連・アフガニスタン合同調査団によって発見された。6基の墓が調査されている。被葬者は地下数メートルの深さに埋められた棺(ひつぎ)の中に安置されていた。このうち、金製品や宝石細工を身にまとった1人は王とみなされ、ほかはその親族と考えられている。副葬品のうちおもなものは、金製の皿、冠、足輪、動物形品、樹木形品、宝石をちりばめた金製の腕輪、指輪、垂飾(すいしょく)品などがある。これらにはギリシア、ローマ、インドなどの影響が認められ、シルク・ロードの要衝であったバクトリアの歴史の解明に重要な役割を果たす遺品である。
[鈴木忠司]