改訂新版 世界大百科事典 「シュルッパク」の意味・わかりやすい解説
シュルッパク
Shuruppak
メソポタミア南部,古代シュメール地方の都市。現遺跡名ファラFara。1902-03年にドイツ隊,31年にアメリカのペンシルベニア大学隊により発掘された。前4千年紀末のジャムダット・ナスル期に成立し,前3千年紀中葉,初期王朝期Ⅲ期初めに発展は頂点に達したと思われるが,ウル第3王朝時代ののち荒廃した。〈シュメール王朝表〉によれば,シュルッパク王ウバルトゥトゥの治世ののち〈大洪水〉が全土を襲ったという。他の伝承はウバルトゥトゥの子(ないし孫)のジウスドラが〈大洪水〉に生き残ったことを伝えている。初期王朝期Ⅲ期初頭の粘土板(語彙リスト,行政・経済文書など)が多く出土しており,その書体が北部シュメールの遺跡アブー・サラビフAbū Salabikh,シリアのエブラ出土文書のそれに酷似しているところから,近年にわかにシュルッパク文書研究が活発化した。ただし,シュメール政治史上のシュルッパクの位置については不明な点が多い。
執筆者:前川 和也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報