化学辞典 第2版 「ジオキセタン」の解説
ジオキセタン
ジオキセタン
dioxetane
2個のO原子を含む飽和四員環化合物の総称.ジオキサシクロブタンともいう.1,2-,および1,3-ジオキセタンの2種類の異性体がある.1,2-ジオキセタンは環状過酸化物の一種であり,酸素酸化によるアルケンの開裂反応の中間体と推定されている.しかし,1,2-ジエトキシエテン,あるいは1,4-ジオキセンなどの電子豊富なアルケンに対する一重項酸素の1,2-付加反応で合成される1,2-ジオキセタン(C2H4O2(60.2).液体.[CAS 6788-84-7])は比較的安定であり,単離することができる.1,2-ジオキセタンを加熱すると2分子のカルボニル化合物に分解するが,この際,カルボニル化合物の発光が観測されることがある.これは,1,2-ジオキセタンの開裂が,光化学的な[2+2]付加環化反応の逆過程として協奏的に進行するので,生成するカルボニル化合物の一方が励起状態になるためと説明される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報