発光(読み)ハッコウ

デジタル大辞泉 「発光」の意味・読み・例文・類語

はっ‐こう〔‐クワウ〕【発光】

[名](スル)光を発すること。「発光する昆虫」「発光塗料」
[類語]光る輝く光り輝くきらめくひらめまたた照る照らす照り輝く照りえる照り付けるきらつくぎらつく一閃いっせんする反照する

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精選版 日本国語大辞典 「発光」の意味・読み・例文・類語

はっ‐こう‥クヮウ【発光】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 光を発すること。光を放つこと。また、その光。
    1. [初出の実例]「農業化学の教師、水素酸素の講釈をなし、水を引て発光し、及び銕片を焼く等の試験を示せり」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
    2. 「蒼白いセンジュアルな発光の中にひきつつまれて」(出典:桐の花(1913)〈北原白秋〉白猫)
    3. [その他の文献]〔李賀‐日出行〕
  3. 生物体が体内のエネルギーを光に転換して、光を発すること。生物発光
    1. [初出の実例]「一種の菌類が発光するのだといふ」(出典:光と風と夢(1942)〈中島敦〉六)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「発光」の意味・わかりやすい解説

発光(物理)
はっこう

光を発生する現象。生物的発光や化学的発光もあるが、ここでは物理的発光について述べる。光は電波からγ(ガンマ)線までの幅広い波長領域に渡る電磁波であり電磁相互作用である。可視光での物理的発光には、電子遷移による発光、熱による発光(熱発光)、制動放射による発光、チェレンコフ光(放射)などがある。

 電子遷移による発光はなんらかの理由により原子核周囲の電子が基底状態から励起状態に遷移し、その電子が元の基底状態に戻るときにおこる。電子が励起状態へ遷移する原因としては外部からの光エネルギー(フォトルミネセンス)、電圧(エレクトロルミネセンス)、電子線の照射(カソードルミネセンス)などがある。熱発光(電球、溶鉱炉)では熱エネルギーが励起原因である。制動放射による発光は電子などの荷電粒子が磁場(シンクロトロン光)や他の原子などとの衝突(X線管)により急に運動方向を変えられたときにおこる。チェレンコフ光は媒質中の光速より高速な粒子による衝撃波としての光である。真空以外の媒質中での光速は真空中での光速より屈折率分だけ遅くなる(たとえば水は屈折率が1.3程度なので、水中での光速は真空中の光速の1.3分の1になる)ことなどが要因となる。

[山本将史 2022年4月19日]


発光(生物)
はっこう

生物による発光現象を、生物発光または単に発光という。生物発光は酸化による化学発光であるが、発生する光はすべて可視光で、熱の発生をほとんど伴わず、いわゆる冷光を発する。生物発光の効率はきわめてよく、ホタルの場合、約90%といわれている。ホタルやヤコウチュウのように発光が細胞内で行われるものを細胞内発光、ウミホタルツバサゴカイのように分泌物が光るものを細胞外発光という。また、発光生物自身の生産する物質が発光するものを一次発光といい、共生または寄生している発光細菌などによる自力発光でないものを二次発光という。動物以外で発光するものはバクテリア(発光細菌)とキノコ発光菌類)、および鞭毛(べんもう)藻類(動物学では原生動物としても分類される)に限られている。一方、動物では原生動物から脊椎(せきつい)動物(魚類)まで、おもなグループに広く発光するものが認められる。

[村上 彰]

発光の機構

発光の機構には、発光物質が酵素の作用により酸化されて発光する型のものが多い。発光物質をルシフェリン(発光素)、酵素をルシフェラーゼ(発光酵素)と総称する。一般的に、生物種が異なればルシフェリンも異なり、ルシフェラーゼも近縁種間でのみ作用する。ホタルの発光はルシフェリン、ルシフェラーゼと酸素のほかに、アデノシン三リン酸(ATP)とマグネシウムイオンを必要とするが、ウミホタルでは、酸素の存在下でルシフェリンとルシフェラーゼおよび水があれば発光する。また、オワンクラゲのエクオリン(イクオリン)aequorinは、カルシウムイオンのような低分子物質の触媒によって発光する。エクオリンとともに発見・分離された緑色蛍光タンパク質Green Fluorescent Protein(GFP)は励起光により発光する。これを組換えDNAの技術によって細胞に取り込ませ、特定の遺伝子の発現を判定する(レポーター遺伝子)。また、種々の発光物質は、ATP、カルシウム、酵素等それぞれ異なる物質に低濃度で反応して発光するため、それらの検出にも広く利用されている。

[村上 彰]


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普及版 字通 「発光」の読み・字形・画数・意味

【発光】はつこう

光る。

字通「発」の項目を見る

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デジタル大辞泉プラス 「発光」の解説

発光

吉原幸子の詩集。1995年刊。著者の生前に刊行された最後の詩集。第3回萩原朔太郎賞受賞。

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