改訂新版 世界大百科事典 「ジギスムントの改革」の意味・わかりやすい解説
ジギスムントの改革 (ジギスムントのかいかく)
Reformatio Sigismundi[ラテン]
中世末期のドイツの帝国改革文書。バーゼル公会議開催中の1439年に発表されたが,筆者は不明。当時の神聖ローマ皇帝ジギスムントの名を冠して,改革が皇帝の意図から出たように見せかけている。内容は,皇帝を中心に,帝国都市が裁判・行政を担当し,封建諸侯を従属下におく国政改革を構想している。領主がかってに設けた関税の廃止,貨幣鋳造権の乱用の是正,度量衡の統一,物価を高くするギルド(ツンフト)制度の廃止,生活必需品の投機買占めの禁止,大商事会社の廃止など市民生活の改善について提案し,さらに農民の重い地代・租税・賦役の廃止,共有地の解放,農奴制の廃棄を強く主張している。この文書はひろく流布し,ドイツ農民戦争勃発の一要因をなした。
執筆者:瀬原 義生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報