改訂新版 世界大百科事典 「スキーリングスサル」の意味・わかりやすい解説
スキーリングスサル
Skiringssal
バイキング時代のノルウェーの交易地。アングロ・サクソンのアルフレッド大王によるオロシウス《世界史》のアングロ・サクソン語への翻訳(880年代)本の序章には,当時の北ノルウェーの豪族オウッタルによる北欧地理口述があり,そこにノルウェー南部の交易港,スキリンゲス・ヘアレSciringes healeについて言及がある。この地は早くからベストフォル地方にあるとされていたが,1950年以来の発掘は,この最古の交易地がベストフォルのカウパングKaupangにあったことをほぼ確定した。出土品によるとスキーリングスサルは,9世紀を通じてイングランドをはじめとする遠隔地と交渉をもったことがわかる。この地はのちにノルウェーを統一する小王の本拠地を背後にもち,王侯の交易港としての機能をはたしたと思われる。しかし住居・墓の研究は,住民が交易をもする農漁民であったことを示している。900年ころその機能は北東のテンスベルに継承されたらしい。
執筆者:熊野 聰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報