改訂新版 世界大百科事典 「セタラ」の意味・わかりやすい解説
セタラ
Eemil Nestor Setälä
生没年:1864-1935
フィンランドの言語学者。ヘルシンキ大学フィンランド語・文学教授(1893-1929)で,文部大臣や外務大臣もつとめた。彼の《フィンランド語文法》の音声・形態論(1890)と統語論はいまもその価値を失っていない。《一般フィンランド音声史》(1890-91)で,バルト・フィン諸語の音声変化を歴史的に解明し,子音階程交替の起源と範囲をフィン・ウゴル語派系の諸語の中に求めた。またフィン・ウゴル語派とサモエード諸語との間の系統的関係を確立した。彼は有能な弟子を育成してウラル語族系諸語の研究を分担させ,フィンランドにおけるウラル語学の基を築いた人物である。研究機関誌《フィン・ウゴル研究》(1901- )を創刊し,《フィンランド語源辞典》の編集を始めた(死後1978年に完結)。
執筆者:小泉 保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報