改訂新版 世界大百科事典 「ターボステープラー」の意味・わかりやすい解説
ターボステープラー
turbo-stapler
紡糸によって作られた合成繊維のトウ(長繊維束)をカッターでばらばらに切断してステープル(短繊維)を作り紡績するのではなく,トウを加熱延伸した後,繊維の配列を乱すことなく牽切(けんせつ)し,スライバー(短繊維束)を作る機械。このような機械を一般にコンバーターと呼ぶが,表面速度の異なる2組のローラー間で延伸し,牽切するパーロック方式,刃物による押切りカッティングを行うパシフィックコンバーター方式などもある。ターボステープラーはこの中間の方式で,ローラー間の牽切に補助装置(多くのカッターブレードをもつブレーカーバー)を用いている。供給されたトウは薄く広げられ,合成繊維の熱可塑性を利用して加熱延伸された後,牽切域に入る。次にクリンパーで巻縮(けんしゆく)をつけられスライバーとなる。このスライバーの繊維は熱収縮が大きいので,収縮率の異なるものを混合紡績した後,熱収縮させ,かさ高糸を作ることができる。なおこの方式は1953年,デラウェア・ミルDelaware Mill,ロークJ.L.Lorke,ターボ・マシンTurbo Machineの3社で,パーロックの牽切原理にもとづいて開発された。
執筆者:近田 淳雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報