イギリス中世の指定市場。つまり主要商品とくに羊毛について,搬入し取引すべく政府によって指定された市場である。その目的は,商品流通の統制と独占を可能にしつつ,関税の徴収を容易にすることであり,とくに羊毛の輸出関税の徴収に効果があった。また品質の統制や,貿易をめぐる外交手段としても有用であった。なおかかる指定市場にもとづき,その商品流通を担った特権的・独占的商人をステープル商人(マーチャント・ステープラーズ)という。13世紀末エドワード1世によって初めて設定され,ヨーロッパ大陸ではドルトレヒト,やがてアントワープ,ブリュージュ,カレーが,国内ではボストン,ブリストル,ハル,ロンドン,サウサンプトン等々がステープルに指定されている。14世紀中葉エドワード3世の時代には,ステープルにもとづく羊毛関税が国家の重要な財源となった。15,16世紀に入ると毛織物輸出と冒険商人(マーチャント・アドベンチャラーズ)が台頭し,ステープルおよびステープル商人は衰退していった。
執筆者:坂巻 清
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