日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダーネビアケ」の意味・わかりやすい解説
ダーネビアケ
だーねびあけ
Danevirke デンマーク語
ユトランド半島基部を東西に走るビーキング(バイキング)時代北欧最大の防御土塁施設。東のシュライSchlei峡湾から西のホリングシュテットHollingstedtまで連なる14キロメートルの「主土塁」、これと交易地ヘズビューHedebyの半円形土塁をつなぐ「連結土塁」、その南の「コービアケKovirke」などからなり、主土塁とコービアケを「軍道」が貫く。デンマーク南部やヘズビューへの南からの侵攻を防ぐことが目的であった。史料にみえる造営者は、フランク王国年代記の伝える(808)デーン人ゴズフレズGodfred王と、12世紀にれんが防壁で補強したバルデマー大王Valdemar den Storeの2名である。従来ゴズフレズ王を最初の造営者と考えてきたが、近年の考古学は主土塁の最古部の構築年代を737年とし、論議をよんでいる。防塁構造は時代による特徴をもつが、その最古部が960年ごろのものと判明した連結土塁には、10世紀にドイツと緊張関係にあったデンマークのハラール青歯王Harald Blåtandが深く関与していたと考えられる。
[荒川明久]
『ジャクリーヌ・シンプソン著、早野勝己訳『バイキングの世界』(1982・東京書籍)』