精選版 日本国語大辞典 「東西」の意味・読み・例文・類語
とう‐ざい【東西】
[1] 〘名〙
① 東と西。また、東から西まで。
※性霊集‐二(835頃)沙門勝道歴山水瑩玄珠碑・序「北望則有湖、約計一百頃、東西狭、南北長」
② (「東や西」の意から) あちらやこちら。あらゆる方向。
※霊異記(810‐824)上「愚人顛沛(たふ)れ 東西に狂ひ走る」
④ その位置が東と西であるもの、また「東」と「西」の字のつくものをまとめていう。
(イ) 舞台の上手(かみて)と下手(しもて)。
(ロ) 土俵の東と西。
※随筆・胆大小心録(1808)一三八「東西のとうどり、すまふが出て」
※随筆・秉燭譚(1729)五「東西とは物をいふ一おりのものを持出るなり」 〔通雅‐称謂〕
[2] 〘感動〙
① =とうざいとうざい(東西東西)①
※俳諧・鷹筑波(1638)五「東西(トウザイ)と春のしづむる朝かな〈正依〉」
② =とうざいとうざい(東西東西)②
③ 相手のことばを軽く制するときにいう。
※人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)五「『夫じゃア其他はみんな啌言(うそ)だといふのか』『ヲット東西、マア何にしろ横鎗を入れねへで聞べしサ』」
[語誌](1)節用集類で「東西」に「アナタコナタ」と当てられて、(一)②の意味でも使われた。また、サ変動詞のようにも用いられた。→とうざい(東西)する。
(2)「左右(そう)」と似ているが、「左右」よりも動作性が強いといわれる。
(3)(一)⑤については「南総里見八犬伝‐九」に「船にて飽まで東西(モノ)賜りぬ」と読ませた例が見られる。
(2)「左右(そう)」と似ているが、「左右」よりも動作性が強いといわれる。
(3)(一)⑤については「南総里見八犬伝‐九」に「船にて飽まで東西(モノ)賜りぬ」と読ませた例が見られる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報