東西(読み)トウザイ

デジタル大辞泉 「東西」の意味・読み・例文・類語

とう‐ざい【東西】

[名]
東と西。また、その方向。「東西に走る道路
東洋西洋関東関西、東側諸国と西側諸国などの意。「東西文化」「洋の東西を問わない」「古今東西
世間。また、世間の事柄事情。「東西もわきまえない青二才
《東や西の意から》あちこち。方々
「何を見るぞと思ひて、―を見廻らせば」〈今昔・二八・七〉
[感]東西東西」に同じ。
「『―、黙って』と笑顔をお千世に向けて」〈鏡花日本橋〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「東西」の意味・読み・例文・類語

とう‐ざい【東西】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 東と西。また、東から西まで。
      1. [初出の実例]「北望則有湖、約計一百頃、東西狭、南北長」(出典:性霊集‐二(835頃)沙門勝道歴山水瑩玄珠碑・序)
      2. 「馬に閃(ひら)りとうち跨り、東西(トウザイ)に別れつつ」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)続)
      3. [その他の文献]〔孟子‐告子・上〕
    2. ( 「東や西」の意から ) あちらやこちら。あらゆる方向。
      1. [初出の実例]「愚人顛沛(たふ)れ 東西に狂ひ走る」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    3. ( 転じて ) 世間、また世間の事柄をさしていう。→東西を弁えず
    4. その位置が東と西であるもの、また「東」と「西」の字のつくものをまとめていう。
      1. (イ) 舞台の上手(かみて)下手(しもて)
        1. [初出の実例]「初手の餝付(かざりつけ)を東西へ引分る」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)一)
      2. (ロ) 土俵の東と西。
        1. [初出の実例]「東西のとうどり、すまふが出て」(出典:随筆・胆大小心録(1808)一三八)
      3. (ハ) 関東と関西。
      4. (ニ) 東洋と西洋。
        1. [初出の実例]「東西の画家には未だ嘗て落款の場所と軽視したるものはない」(出典:侏儒の言葉(1923‐27)〈芥川龍之介〉ムアアの言葉)
    5. 中国俗語に由来して、物品・金銭をいう。
      1. [初出の実例]「東西とは物をいふ一おりのものを持出るなり」(出典:随筆・秉燭譚(1729)五)
      2. [その他の文献]〔通雅‐称謂〕
  2. [ 2 ] 〘 感動詞 〙
    1. とうざいとうざい(東西東西)
      1. [初出の実例]「東西(トウザイ)と春のしづむる朝かな〈正依〉」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)五)
    2. とうざいとうざい(東西東西)
      1. [初出の実例]「東西只今の角力行司預り置ます」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
    3. 相手のことばを軽く制するときにいう。
      1. [初出の実例]「『夫じゃア其他はみんな啌言(うそ)だといふのか』『ヲット東西、マア何にしろ横鎗を入れねへで聞べしサ』」(出典:人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)五)

東西の語誌

( 1 )節用集類で「東西」に「アナタコナタ」と当てられて、[ 一 ]意味でも使われた。また、サ変動詞のようにも用いられた。→とうざい(東西)する
( 2 )左右(そう)」と似ているが、「左右」よりも動作性が強いといわれる。
( 3 )[ 一 ]については「南総里見八犬伝‐九」に「船にて飽まで東西(モノ)賜りぬ」と読ませた例が見られる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「東西」の読み・字形・画数・意味

【東西】とうざい

東と西。〔孟子告子上〕子曰く、性は湍水(たんすい)のごときなり。~人の性の善不善をつ無きは、ほ水の東西をつ無きがごとし。

字通「東」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

とっさの日本語便利帳 「東西」の解説

東西

日本では東と西、方角。中国では物、物事の意味でもよく使う。「買東西」とは、買い物。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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