世界大百科事典(旧版)内のチャドウィック,Johnの言及
【ギリシア語】より
…粘土板に刻まれ,火災に焼かれ,乾燥した土地で埋没したまま近代にいたって発見されたこの文書は,クレタ島のクノッソス宮殿とペロポネソス半島の各地から出土したものだが,長い間当事者のだれもが,その言語は先住民族のもので,ギリシア語であろうとは予想しなかった。ところが戦後になって,イギリスの若い建築家M.ベントリスは暗号解読の方法を利用してその解読に成功し,ギリシア語学の専門家であるチャドウィックJohn Chadwickの協力をえて1952年にその成果を発表し,この言語をギリシア語であると断定した。この予想外の結果に当初は疑問を投げる学者もいたが,現在ではほぼ学界の承認するところとなり,ギリシア語の歴史は文献的に前1400年ころにまでさかのぼることが可能になった。…
【線文字B】より
…すなわちベントリスは1952年にテキストの内的方法による分析で格子(グリッド)ノートを作成し,音価をあててみたところ,古いギリシア語であることがわかった。さらに言語学の知識と暗号解読の経験のあるチャドウィックJohn Chadwickの協力を得て,53年《ギリシア研究誌》にその成果を発表し,学界に大反響を巻き起こした。少数の反対はあるものの,大勢としてその解読の正しさは承認された。…
【ベントリス】より
…少年のころからクレタ島の古代文字に関心を寄せ,オックスフォード大学で建築学を修め,建築技師となったが,線文字Bとよばれる文字の解読に努力していた。線文字B文書に見られる語の中には,語尾変化を示唆する三つ一組の語形を示す幾つかの組のあることが知られた段階で,1952年,それら音節文字のいくつかにクレタ島の有名な地名の音節を配分する作業から,線文字Bで書かれた文書がギリシア語の古形であることをつきとめ,ギリシア方言学者チャドウィックJohn Chadwickの協力を得て,53年にその解読の方法と成果を世界の学界に発表した。それは数年のあいだに原則的に正しいとおおかたの学者によって承認された。…
※「チャドウィック,John」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」