日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャヌフ・ダーロ」の意味・わかりやすい解説
チャヌフ・ダーロ
ちゃぬふだーろ
Chanhu-daro
インダス文明の主要遺跡の一つ。パキスタン南部、モヘンジョ・ダーロの南方約130キロメートル、サクランド近郊に位置する。1931年に発見、1935~1936年にイギリスのマッケイらによって発掘された。時代は大きく三期に分かれ、最下層がインダス文明期、その上にジューカル文化とジャンガル文化の層位がそれぞれ続く。インダス文明期では、都市を縦断する大通りに面して、工房址(し)とされる一連の建物が明らかになった。ここからは多数の青銅器、玉製ビーズ、骨や貝製品、印章などが、未完成品や製作用の道具をも伴って出土し、また玉作りの工房の床下からは、釉薬(ゆうやく)をかけるために用いられた精巧な煙道もみつかって、技術史上注目さるべき資料となっている。ジューカル、ジャンガル両文化は同遺跡第二遺丘に明らかにされ、インダス文明解体後のシンド地方の文化展開を知るうえで重要な遺跡である。ただしその担い手はよくわかっていない。
[小西正捷]