チンタナカーン・マイ(読み)ちんたなかーんまい(その他表記)Chintanakan Mai

知恵蔵 「チンタナカーン・マイ」の解説

チンタナカーン・マイ

ラボップ・マイ(Labop My)とも呼ばれる。ベトナムドイ・モイ政策のラオス版。1986年の第4回人民革命党党大会で、「新経済メカニズム」として承認された経済政策を指すことが多い。旧ソ連による援助が急減し、国内資本の乏しい農業国ラオスは国際機関・西側先進国からの援助に頼らざるを得なかった。そこで社会主義の枠組みを維持しながら経済改革の推進を目指し、政治面では従来の親ソ・親ベトナム路線を修正、中国など近隣諸国との関係改善による全方位外交に転換した。97年にはASEAN加盟。経済面ではタイのバーツ圏に組み込まれ、言語の近接からタイ文化の影響も著しい。日本からのODAが半分近くを占める。近年、中国との貿易が急速に増大し、中国製品が溢れている。通貨危機によって社会経済面で大打撃を受けたこともあり、2001年の第7回党大会では社会主義回帰を明確にした。外資で建設したダムによる電力輸出が、最大の外貨獲得源。現在、世界銀行等の支援でナムトゥン2ダム計画が進行中だ。

(片山裕 神戸大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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