つんつく踊(読み)つんつくおどり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「つんつく踊」の意味・わかりやすい解説

つんつく踊
つんつくおどり

高知県香南(こうなん)市夜須(やす)町に伝わる民俗芸能。旧暦9月26日の手結浦(ていうら)竜宮社の祭りと、旧暦9月30日の夜須八幡(はちまん)宮の御立祭に踊られる。竜宮社のそれは海上安全と豊漁祈願の奉納踊という。国の選択無形民俗文化財および県の無形民俗文化財に指定されている。名称は鳴物の鉦(かね)と太鼓の拍子がツンツクツンと聞こえるところから出たもので、烏帽子(えぼし)、白の直垂(ひたたれ)・袴(はかま)で扇を持ち、鉦打ち・太鼓打ちといっしょに円陣をつくって歌いながら踊る。現在『たまずさ』『とおばしり』『きみ代の踊』『あや踊』『若き姫たちの踊』の5曲を伝えるが、寛永(かんえい)年間(1624~44)に漁民が日向(ひゅうが)国(宮崎県)から伝習したときは23曲あった。伝習ものは小歌踊だが、地元伝来の舞と習合したものという。これに対抗して、農民が当時流行の幸若(こうわか)舞を習い夜須八幡に奉納したが、早く廃絶した。

[西角井正大]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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