日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥルカナ遺跡」の意味・わかりやすい解説
トゥルカナ遺跡
とぅるかないせき
prehistoric sites by Lake Turkana
アフリカ、ケニア北部の塩湖トゥルカナ湖(旧称ルドルフ湖)付近の古人類遺跡群。今日では不毛に近い荒野のただなかにあるが、1968年以降、トゥルカナ湖東岸のコービ・フォラおよびイレレットの両地区において、ケニア国立博物館のリチャード・リーキーの調査団は、おびただしい数の古人類化石を発見した。そのほとんどは骨の破片であるが、比較的保存良好なボイセイ猿人やホモ・ハビリスが発見された。いずれも従来考えられていたものよりはるかに古い地層から出土しているため、重要視された。各国から人類学、地質学、古生物学、先史学、生態学、年代測定学など、さまざまな分野の学者が集まり、この地区の化石や化石生成過程、地層、年代、古環境の共同研究を重ねた。1980年代には西トゥルカナでも調査が進められ、エチオピクス猿人の頭骨やエルガステル原人の全身骨格が発見された。トゥルカナ湖北岸はエチオピア領であるが、その付近からは初期人類化石も発見されている。トゥルカナ湖南西部のカナポイからは、390万~420万年前のアナム猿人が出土しており、同じくロサガムからもごく初期人類の化石とおぼしい標本が発見されている。いずれにしても初期人類進化の研究上もっとも注目される地域である。
[香原志勢]