とおしろし(読み)トオシロシ

デジタル大辞泉 「とおしろし」の意味・読み・例文・類語

とお‐しろ・し〔とほ‐〕

[形ク]
大きく堂々たる様子である。雄大である。
「天ざかるひなにしあれば山高み川―・し」〈・四〇一一〉
歌学用語で、気高く奥深い
「気高く―・きをひとつのこととすべし」〈俊頼髄脳

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「とおしろし」の意味・読み・例文・類語

とお‐しろ・し とほ‥

〘形ク〙
① 大きく立派である。偉大である。雄大である。
万葉(8C後)三・三二四「明日香の 古き京師(みやこ)は 山高み 河登保志呂之(トホシロシ) 春の日は 山し見がほし」
※大唐西域記長寛元年点(1163)四「人の骸(ほね)偉大(トホシロシ)なれば国俗相伝して之を福地と謂ふ」
② 平安時代以後、歌論用語で、気高く奥深いの意。
※俊頼髄脳(1115頃)「けだかく遠白きをひとつのこととすべし」
[語誌](1)①の挙例の「万葉‐三二四」の「登保志呂之」は、かつて「あざやか」「さやか」の意と説かれたが、これを「白し」と関係づけることは、上代特殊仮名遣いの上から(「白」の「ろ」は甲類、「とほしろし」の「ろ」は乙類)否定されている。但し、この「ろ」が乙類であるのは、もともとの「白」が上の「とほ」が乙類であるのにひかれて転じたものと見る説もある。
(2)歌論書における「とほしろし」は、「けだかし」「たけたかし」などの語と伴なって用いられ、また「愚秘抄」では「長高体」「高山体」に合わせて「遠白体」が示されている。

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