( 1 )①の挙例の「万葉‐三二四」の「登保志呂之」は、かつて「あざやか」「さやか」の意と説かれたが、これを「白し」と関係づけることは、上代特殊仮名遣いの上から(「白」の「ろ」は甲類、「とほしろし」の「ろ」は乙類)否定されている。但し、この「ろ」が乙類であるのは、もともとの「白」が上の「とほ」が乙類であるのにひかれて転じたものと見る説もある。
( 2 )歌論書における「とほしろし」は、「けだかし」「たけたかし」などの語と伴なって用いられ、また「愚秘抄」では「長高体」「高山体」に合わせて「遠白体」が示されている。