化学辞典 第2版 「トリチオヒ酸塩」の解説
トリチオヒ(Ⅲ)酸塩
トリチオヒサンエン
trithioarsenite(Ⅲ)
AsⅢのチオ酸塩は,普通はMⅠ3AsS3のいわゆるオルト塩であるが,そのほか,MⅠAsS2(メタ酸塩),M4As2S5などのポリ酸型構造のものも知られている.天然に,淡紅銀鉱(proustite)Ag3AsS3として産出する.アルカリ金属,アルカリ土類金属の塩は,各金属の硫化物とAs2S3との反応で得られ,ほかの重金属塩はアルカリ金属塩から複分解反応でつくられる.淡紅銀鉱などでは,三方すい型のAsS33-イオンを含む.アルカリ金属,アルカリ土類金属の塩は,いずれも水に可溶.酸を加えると,H2Sを発生してAs2S3を沈殿する.[CAS 16894-55-6:Na3AsS3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報