日本大百科全書(ニッポニカ) 「淡紅銀鉱」の意味・わかりやすい解説
淡紅銀鉱
たんこうぎんこう
proustite
銀を主成分とする硫塩鉱物の一つ。ルビー・シルバーともよばれる。黄粉銀鉱とは同質異像関係にあり、おそらくその高温相に相当する。各種熱水鉱脈鉱床中に産し、脈石鉱物として石英のほかに炭酸塩鉱物を含むことが多い。肉眼ではそのアンチモン(Sb)置換体である濃紅銀鉱と区別しがたい。まれに六角柱状の自形をなすことがある。日本では栃木県塩谷(しおや)郡栗山村(現、日光(にっこう)市)西沢鉱山(閉山)の銀鉱石中から最初に発見され、その後兵庫県生野(いくの)鉱山(閉山)からも発見された。英名は、最初に本鉱の化学成分を決定したと伝えられるフランスの化学者J・L・プルーストにちなむ。
[加藤 昭 2017年9月19日]