改訂新版 世界大百科事典 「ドルコプシス」の意味・わかりやすい解説
ドルコプシス
dorcopsis
ワラビーに似た有袋目カンガルー科ドルコプシス属の哺乳類の総称。オオドルコプシスDorcopsis muelleri,セスジドルコプシスD.hageniなど5種がある。カンガルー類としては,後肢の発達が悪く,短い前肢との差が少ないのが特徴。耳は小さく毛がない。体色はチョコレート色,あるいは黒褐色。セスジドルコプシスでは背すじに細い白線がある。体長60~83cm,尾長32~50cm。ニューギニアの熱帯雨林にすむ。肩から頭にかけての毛が一般の動物のそれとは逆に,前方に向かってはえているため,雨に降られたとき,身をまるめると肩から頭に向かって雨水がうまく流れ落ちる。雨の多い生息環境への適応と思われる。習性はワラビー類に似るものと考えられているが,ほとんど知られていない。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報