翻訳|wallaby
有袋目カンガルー科に属する哺乳類のうち,姿がカンガルー(カンガルー属)に似るが,それよりも小型の動物。ウサギワラビー属Lagorchestes,イワワラビー属Petrogale,ツメオワラビー属Onychogalea,ヤブワラビー属Thylogale,ワラビー属Protemnodonなどに属する動物の総称で,約35種あるが,狭義にはワラビー属に属する約10種を指す。大きさを除くと外観から区別することはむずかしいが,からだつきがカンガルーに比べてきゃしゃで,後足が小さく,尾が細いのが特徴。後足はカンガルー類では26cm以上あるのに対して,ワラビー類では16~25cm。ウサギワラビー属,イワワラビー属などは体長35~50cm程度と小さく,ワラビー属では体長70~100cmと比較的大型。ワラビー属はしばしばカンガルー属と同属として統合されることがあるほどカンガルー属に近い。オーストラリアとニューギニアに分布する。ひらけた草原に群れをなしてすむものが多いカンガルー類に対して,ワラビー類ではアカクビワラビーProtemnodon rufogriseaのように低木林やヒースの茂みなどの密閉された深いやぶに通路をつくってすむものが多い。また,シマオイワワラビーPetrogale xanthopusのように険しい岩場にすみ,その敏しょうな身のこなしから〈オーストラリアのシャモア〉と呼ばれるものもあるなど,小さな体をうまく活かして生活しているといえる。しかし,よく発達した後肢でジャンプしながら高速で走る能力をもつ点や,子を育児囊で育てるなどの基本的な生活のしかたはカンガルーと同じである。かつてシドニー南方に広大な面積を占めていた熱帯雨林に生息したといわれるパルマヤブワラビーThylogale parmaなどのいくつかの種がおもに生息地の破壊のために絶滅に瀕(ひん)している。
→カンガルー
執筆者:今泉 吉晴
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