改訂新版 世界大百科事典 「ナガミミズ」の意味・わかりやすい解説
ナガミミズ
Haplotaxis gordioides
貧毛綱ナガミミズ科の環形動物。体が細長いのでこの名がある。地下水にすむミミズで,深い掘抜井戸や泉に続く水系に発見される。日本では北海道の札幌と大阪府から知られており,またヨーロッパ,北アメリカ,シベリアなどからも報告されている。生殖巣の数とそれが占める部位,その他の形質からナガミミズはミミズの祖先形に近いものが現在まで生き残ったものと考えられる。体長30cm,体幅1~2mmで非常に細長い。淡紅色や淡褐色を帯びた白色で,200以上の体節からなる。各体節に2対の剛毛束があるが,1剛毛束には1本の単剛毛があるのみで,腹側剛毛は背側剛毛に比べて非常に大きく,先端が曲がった鎌形を呈する。精巣は2対あって,第10体節と第11体節に位置し,卵巣は第12体節と第13体節にある。
近縁種のハラケナガミミズH.gastrochaetusは札幌の掘抜井戸から発見された。体長5~7.3cm,太さ0.6mmで,体表のクチクラ膜が厚いために体節が不明りょう,また剛毛は各体節の腹側に2本あるだけである。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報