日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナミハダニ」の意味・わかりやすい解説
ナミハダニ
なみはだに / 並葉蜱
two-spotted spider mite
[学] Tetranychus urticae
節足動物門クモ形綱ダニ目ハダニ科に属する植物寄生性のダニ。分布は北半球の温帯全域に及ぶ汎(はん)世界的な普通種。体長は雌0.4ミリメートル内外、雄0.3ミリメートル内外。夏型の雌には淡黄緑色の胴体部の両側に暗緑色ないし黒色の顕著な1対の斑紋(はんもん)が認められる。英名はこの斑紋に由来している。しかし、胴体部が完全に暗緑色ないし黒色の個体もみられる。卵は淡黄色。寄主植物の範囲はきわめて広く、リンゴ、オウトウ、ナシ、モモ、ブドウ、ダイズ、インゲン、ナス、キュウリ、ホップ、クワ、そのほか多くの草花につく。増殖率がハダニ類のなかで最高、寄生に気づいた時点で、防除が手遅れなことがある。集中的に寄生し、網を葉裏面に立体的に張って生活する点など、同属のカンザワハダニ、ニセナミハダニと似ている。植物の加害が進むと、葉は微細な網で覆われるようになる。越冬は成虫態休眠、休眠雌は橙(だいだい)色で、黒紋を欠く。
[森 樊須]