ナーラーヤナ(英語表記)Nārāyaṇa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナーラーヤナ」の意味・わかりやすい解説

ナーラーヤナ
Nārāyaṇa

インド神話で原人とされるナラの息子創造神とされ,神格としてはブラーフマナ文献にすでにみられる。後世では,ヒンドゥー教の重要な神格であるビシュヌ神の呼称としても用いられている。

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世界大百科事典(旧版)内のナーラーヤナの言及

【インド数学】より

…パーティーは,パターン化された種々の問題に対する完全に機械的な解法手続の集成であり,ビージャガニタは,未知数に文字を用いる方程式論である。シュリーダラŚrīdhara(8世紀ころ),バースカラ2世(1114年生れ),ナーラーヤナNārāyaṇa(14世紀)などはその両方に関する書を著した。例えばバースカラ2世の有名な《リーラーバティー》(1150)はパーティーの書であるが,彼にはまた《ビージャガニタ》(1150)という書もある。…

【パンチャタントラ】より

…題名の示すように,〈朋友の分離〉〈朋友の獲得〉〈鴉(からす)と梟(ふくろう)の闘争〉〈獲得したものの喪失〉〈思慮なき行為〉という5編から成っているが,各編にはそれぞれ枠物語があって,その中に多くの挿話が含められ,散文に教訓的詩句を交えて語られている。 多数の支本のうちカシミールに伝わった《タントラークヤーイカTantrākhyāyika》は諸伝本の中で最も古い形を伝えるものといわれ,ベンガルに伝わった《ヒトーパデーシャ》(有益な教訓)は,ナーラーヤナ(10世紀ころ)が改編したもので広く普及した。西北インドに伝わった現存しない一本から,6世紀ころ中世ペルシア語のパフラビー語に翻訳されたものがあったというが,これも散逸して伝わっていない。…

【ビシュヌ派】より

…この派の神学はベーダーンタ派の哲学に基礎づけられることが多く,その神学別に,さらにマドバ派,ビシュヌスバーミン派,ニンバールカ派,バッラバ派,チャイタニヤ派などの支派が分岐した。(2)パンチャラートラ派 バーガバタ派がバラモン教的な色彩を濃くもつのに対して,この派はタントラ的(タントラ)なビシュヌ教を説き,ナーラーヤナNārāyaṇaとしてのビシュヌ,およびその神妃であるラクシュミーLakṣmī(吉祥天)を崇拝する。成立の過程はあまり明らかにされていないが,この派の聖典(108典あると伝えられる)は7世紀ころから作成されるようになったと考えられている。…

【ラーマーヌジャ】より

…処女作は,ウパニシャッドの趣旨を明らかにしようとした《ベーダールタ・サングラハVedārtha‐saṃgraha》であるといわれ,主著は《ブラフマ・スートラ》に対する最初の宗派的色彩をもった注釈《シュリー・バーシャŚrī‐bhāṣya》である。10世紀になると,南インドにおいてヒンドゥー教ビシュヌ派の一派シュリーバイシュナバ派のアラギヤと称する学者たちの間で,信愛(バクティ)を強調する大衆的なナーラーヤナ崇拝を,ベーダーンタ哲学によって哲学的に基礎づけようとする動きがおこった。この試みに最初に成功したのがラーマーヌジャであった。…

※「ナーラーヤナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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