デジタル大辞泉 「息子」の意味・読み・例文・類語
むす‐こ【息‐子/▽息】
1 親にとって自分の子である男性。せがれ。「跡取り―」「どら―」⇔娘。
2 陰茎の俗称。
[補説]作品名別項。→息子
[下接語]掛かり息子・
[類語]せがれ・子息・ジュニア・こせがれ・子供・
語源からは、男子・女子のいずれをも指し得ることになるが、女子は同じ「むす(生)」に女性を意味する「め」が付いた「むすめ」で表わされる。
戯曲。1幕。小山内薫作。1922年7月《三田文学》に発表。翌23年3月東京帝国劇場初演。金次郎を6世尾上菊五郎,捕吏を13世守田勘弥,火の番の老爺を4世尾上松助。アイルランドの作家ハロルド・チャピンの《父を探すオーガスタス》を翻案,江戸の世界に移した。雪の夜,江戸の境の火の番小屋。9年の放浪生活から江戸へ戻ったお尋ね者の金次郎は,身を寄せるところもなく小屋の戸をたたく。火の番の老爺も同じ年ごろの息子を持つ身とて,身の上を話しあううちに金次郎は自分の親父と気づく。が,息子の出世を信じきっている相手に,金次郎は打ち明けることができない。町回りの捕吏に怪しまれて格闘の末,彼は一言〈ちゃん〉と呼んで別れ去る。平易明快な主題,緊密な構成,簡潔なせりふは,配役の妙とあいまって,みごとな世話物の一幕を現出した。黒一色の舞台中央に小屋を置いた田中良の舞台装置も評判となった。
執筆者:永平 和雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
小山内薫(おさないかおる)の戯曲。一幕。1922年(大正11)7月『三田(みた)文学』に発表。翌年3月、6世尾上(おのえ)菊五郎の息子、4世尾上松助の老爺(ろうや)、13世守田勘弥(かんや)の捕吏により帝国劇場で初演。徳川末期の江戸の入り口、雪の降りしきる師走(しわす)の夜半過ぎの火の番小屋。土間で焚火(たきび)をする老爺のところに若い男が現れて話しかける。彼は9年前に家を出て上方(かみがた)に行き、いまや御尋ね者となった息子の金次郎である。老爺は暗がりでそれとは気づかず、なにくれとめんどうをみて、話を続ける。しかし、ようすをうかがっていた捕吏に悟られ、遠く呼笛(よびこ)の行き交うなか、「ちゃん」の一声を残して消え去る。イギリスのハロルド・チャピンの『父を捜すオーガスタス』の翻案だが、完全に日本化された一幕劇の傑作で、アマチュア演劇でもたびたび上演されている。
[大島 勉]
『『息子』(『未来劇場上演用台本シリーズ〔1〕』1978・未来社)』
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出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
…22年に処女詩集を刊行。第2次大戦中に,叙事詩《息子》(1943)を発表,戦死した自分の息子にささげられたこの詩は,戦時中のソ連市民の気持ちをきびしくまたやさしく表現し,多くの読者の共感をえた。このほか代表的な仕事としては叙事詩《フランソア・ビヨン》(1934),《アルバート街の裏通り》(1954)などがある。…
…ユダヤ系の衛生顧問官の子としてアーヘンで生まれ,オックスフォード,ローザンヌ,ライプチヒの大学で文学や哲学を学び,第1次大戦に従軍したのち,平和主義者に転じた。暴君的な父親に対する息子の反抗を扱う悲劇《息子》(1914)は,もっとも早い表現主義劇として当時の若い世代に圧倒的な支持を得,反戦劇《アンティゴネ》(1917)をはじめ,《人間》(1918),《決定》(1919),《彼岸》(1920)などをつぎつぎと発表。20年代に入り,仏教,心霊学に関心を示すかたわら,パリ,ハリウッドなどで新聞通信員として活躍。…
※「息子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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