化学辞典 第2版 「ニトロキシド」の解説
ニトロキシド
ニトロキシド
nitroxide
図示したような構造をもつ遊離基の総称.
R2-:↔R2+-:-
N,N-ジ置換ヒドロキシルアミンを緩和な酸化剤(酸化鉛(Ⅳ),アルカリ性過酸化水素など)で酸化すると得られる.安定な遊離基であるためには,Rがアルキル基ならば第三級アルキル型(a),アリール基ならばオルトやパラ位が置換されていること(b)が必要で,これらは長期間保存できる赤色の液体あるいは結晶である.
たとえば,(a)ジ-t-ブチルニトロキシド(di-tert-butyl nitroxide)C8H18NO(144.2)は赤色の油状物質.沸点59~60 ℃(1.5 kPa),遊離基捕そく剤として知られている.ニトロキシドは次式のように,ほかの遊離基と反応して二電子結合を形成するので遊離基捕そく剤として用いられる.
不対電子の電子状態の変化はESR法によって詳細に研究されている.[CAS 2406-25-9:(a)]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報