日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイジマアブバエ」の意味・わかりやすい解説
ハイジマアブバエ
はいじまあぶばえ / 灰縞虻蠅
onion bulb fly
[学] Eumerus strigatus
昆虫綱双翅(そうし)目短角亜目ハエ群アブバエ科に属する昆虫。体長7~8ミリメートル、翅長6ミリメートル内外。体は銅黒色で、胸部背面は光沢があり、1対の灰白色の縦条が走る。はねは透明で前縁部はわずかに煤(すす)色を帯び、第5径室の外縁は波状に著しく屈曲する。脚(あし)の基部、膝(しつ)部、脛節(けいせつ)の基方の3分の1、跗節(ふせつ)はそれぞれ赤褐色で、ほかは黒色。後脚腿節(たいせつ)は甚だ太く、下縁に微刺をもつ。腹部第2~第4節背面には、各1対の灰色粉からなる斜めの斑紋(はんもん)がある。
分布は日本、ヨーロッパ、北アメリカ。幼虫はスイセン、アマリリス、ネギ類、ユリの球根やジャガイモを食害する。年2回の発生で、成虫は6~7月と10月に現れる。初夏にスイセンの葉が枯れて地表面に小孔が開くと、そこへ産卵する。また、球根を掘り上げて放置すると成虫が飛来して産卵することもある。幼虫は汚黄色のウジで、尾端に橙黄(とうこう)色の短い呼吸管がある。成長すると体長10ミリメートルとなり、球根から外へ出て土中で蛹化(ようか)し、体長8ミリメートルの蛹(さなぎ)となる。1個の球根に甚だしい場合は数十頭もの幼虫が食入していることもある。
[伊藤修四郎]