アマリリス(読み)あまりりす(英語表記)amaryllis

翻訳|amaryllis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アマリリス」の意味・わかりやすい解説

アマリリス
あまりりす
amaryllis
[学] Amaryllis belladonna L.

ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)ベラドンナ属の球根草で1属1種。近時一般にアマリリスとよばれているのは南アメリカ原産のヒペアストルムHippeastrum × hybridum hort.であり、これに対して、ホンアマリリスともいう。南アフリカのケープ地方原産。ヒガンバナほどではないが葉が出る前に40~60センチメートルの強い茎を伸ばし、9月下旬、ササユリに似た桃色花を数個以上次々と開き、強い芳香がある。花期を過ぎてからスイセンに似た葉を10枚以上出す。葉は零下3℃以下になると枯れるので、ビニルハウス温室で越冬させると、翌年の5月末まで葉が残り、のちに黄変して枯れ、夏季は休眠する。ヒペアストルムに対し、ケープベラドンナとよばれ、白色、濃桃色などの品種が導入され、品種改良も進んでいる。球根は球周り16センチメートル以上の大球で、秋植えより夏植えのほうがよく、旺盛(おうせい)に生育するので鉢植えよりは地植えのほうが適する。鉢植えは6号鉢に1球植えにし、排水はよく、肥料は多めにする。英名ネイキッド・レディ(裸の美女)は花の愛らしさに由来する。

[川畑寅三郎 2019年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アマリリス」の意味・わかりやすい解説

アマリリス
Hippeastrum hybridum; amaryllis

ヒガンバナ科の多年草。普通この名で観賞用に栽培されるものは,熱帯および温帯アメリカ原産の Hippeastrum属の交雑種であるが,本来のアマリリスは南アフリカ原産のベラドンナリリーである。地下の大きな鱗茎から幅の広い線形の葉を数枚出し,夏頃中央から太い花茎を出して,頂部にユリに似た赤,橙,白などの花を数個斜め下向きにつける。花が大きく美しい園芸品はすべていくつかの原種の交配改良種で,原種のうちキンサンジコやジャガタラズイセンはそれぞれ天保 (1830~44) および嘉永 (48~54) 年間に輸入されたという記録がある。冬季には温室かフレームで越冬させる必要がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報