アマリリス(英語表記)amaryllis
Hippeastrum

デジタル大辞泉 「アマリリス」の意味・読み・例文・類語

アマリリス(amaryllis)

ヒガンバナ科ヒペアストルム属の植物を交配した園芸品種の総称。花の色は赤・淡紅・白色、しま模様などがある。暖地では夏に開花。南アメリカの原産。ジャガタラずいせん。 夏》温室むろぬくし女王の如き―/久女
ヒガンバナ科ベラドンナ属の多年草。一属一種。葉は広線形で、叢生そうせい。9月ごろ、芳香のある淡紅色の6弁花を数個つける。南アフリカの原産で、観賞用。本アマリリス。 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「アマリリス」の意味・読み・例文・類語

アマリリス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] amaryllis )
  2. ヒガンバナ科の多年草。南アフリカ原産。高さ約五〇センチメートル。地下に大きな卵形の鱗茎(りんけい)がある。葉は舌状で縦みぞをもつ。花は淡紅色のユリの花形で茎の頂に数個咲き、強い芳香がある。アマリリス‐ベラドンナ。
  3. 中央・南アメリカ産のヒガンバナ科ジャガタラズイセン属の属名または同属数種を母種とする園芸種の総称。高さ六〇~七〇センチメートル。葉は長さ四〇~五〇センチメートルの舌状。花はユリに似た形で茎の頂に数個つき横向きに開く。色は品種によって赤、橙、白、縞模様などがある。花弁原種に近いほどとがっている。春に球根を植えると夏に咲く。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「噴水(ふきあげ)の水はしたたる…そのもとにあまりりす赤くほのめき」(出典:邪宗門(1909)〈北原白秋〉魔睡・室内庭園)

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改訂新版 世界大百科事典 「アマリリス」の意味・わかりやすい解説

アマリリス
amaryllis
Hippeastrum

観賞用に栽植されるヒガンバナ科の球根植物。普通,園芸でアマリリスと呼ばれているものはヒッペアストルム属Hippeastrumのもので,ホンアマリリスAmaryllis belladonna L.(英名belladonna lily)とは別属として区別される。ホンアマリリスは南アフリカ原産の1属1種の半耐寒性の球根植物で,日本には明治末ごろ渡来した。普通9月末の葉の出る前に,30~40cmの中実の花茎を出し,ピンク色の芳香のある花を数輪次々と咲かせる。最近は北アメリカやニュージーランドで改良された巨大花の品種が輸入されている。

 ヒッペアストルム属は熱帯アメリカを中心に南アメリカ地域に約75種の原種が知られる。花は鉢植えでは5~6月,温室では冬~早春に咲く。ホンアマリリスとは,花茎が中空となり,めしべの柱頭が3裂する点などで区別される。この属では多くの園芸品種が種間交配で作出され,それらはアマリリスH.hybridumと総称されている。とくに今日,人気のあるルードウィヒ系大輪種は5種ほどの種間交雑によって,オランダのルードウィヒ社で育成されたものがもとになり,巨花,丸弁,多花性に,また色彩赤色,桃色,白色,サーモンピンク橙色,縞などに改良されたものである。球根を分割して鱗片繁殖が行われるようになってから,不稔であっても栄養繁殖によって増殖できるようになり,名称をつけた園芸品種が普及するようになった。他方,小輪で花数の多い品種群もやはりオランダで種間交雑によって育成され,ヒッペアストルム・グラキリスH.gracilis Hort.と呼ばれている。本属の原種には黄色や藤色の花色を有するもの,芳香のあるもの,葉に白線の入るものなど,いろいろな形状の種があり,今後大きく変化した美麗花が作出されるだろう。日本で栽培される大半の品種は熱帯系の要素が強いため,普通,春植え球根として扱い,晩秋に降霜で葉が枯れると暖所に移すか,掘り上げて暖かくして貯蔵する。鉢植えは根を切らないよう浅植えし,赤斑病の予防のためベンレートなどで消毒して清潔にするとよい。

 なお,アマリリスの名称はローマの詩人ウェルギリウスの《牧歌》に登場する羊飼いの乙女の名に由来する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アマリリス」の意味・わかりやすい解説

アマリリス
あまりりす
amaryllis
[学] Amaryllis belladonna L.

ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)ベラドンナ属の球根草で1属1種。近時一般にアマリリスとよばれているのは南アメリカ原産のヒペアストルムHippeastrum × hybridum hort.であり、これに対して、ホンアマリリスともいう。南アフリカのケープ地方原産。ヒガンバナほどではないが葉が出る前に40~60センチメートルの強い茎を伸ばし、9月下旬、ササユリに似た桃色花を数個以上次々と開き、強い芳香がある。花期を過ぎてからスイセンに似た葉を10枚以上出す。葉は零下3℃以下になると枯れるので、ビニルハウスや温室で越冬させると、翌年の5月末まで葉が残り、のちに黄変して枯れ、夏季は休眠する。ヒペアストルムに対し、ケープベラドンナとよばれ、白色、濃桃色などの品種が導入され、品種改良も進んでいる。球根は球周り16センチメートル以上の大球で、秋植えより夏植えのほうがよく、旺盛(おうせい)に生育するので鉢植えよりは地植えのほうが適する。鉢植えは6号鉢に1球植えにし、排水はよく、肥料は多めにする。英名ネイキッド・レディ(裸の美女)は花の愛らしさに由来する。

[川畑寅三郎 2019年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アマリリス」の意味・わかりやすい解説

アマリリス
Hippeastrum hybridum; amaryllis

ヒガンバナ科の多年草。普通この名で観賞用に栽培されるものは,熱帯および温帯アメリカ原産の Hippeastrum属の交雑種であるが,本来のアマリリスは南アフリカ原産のベラドンナリリーである。地下の大きな鱗茎から幅の広い線形の葉を数枚出し,夏頃中央から太い花茎を出して,頂部にユリに似た赤,橙,白などの花を数個斜め下向きにつける。花が大きく美しい園芸品はすべていくつかの原種の交配改良種で,原種のうちキンサンジコやジャガタラズイセンはそれぞれ天保 (1830~44) および嘉永 (48~54) 年間に輸入されたという記録がある。冬季には温室かフレームで越冬させる必要がある。

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百科事典マイペディア 「アマリリス」の意味・わかりやすい解説

アマリリス

一般には熱帯アメリカ原産のヒガンバナ科の一属ヒッペアストラムから園芸的に作り出された,花壇,鉢植などにする観賞植物をさす。球根を植えるのは3〜4月で,厚くて扁平な葉を根生し,30〜70cmの中空の花茎を出し,5〜6月その頂に,白,赤,だいだい色のラッパ形大輪の花を横向きに開く。人工分球でふやす。本当のアマリリスは,特にホンアマリリスとかベラドンナリリーと呼ばれ,形態は上記のものに似るが,南アフリカ原産の別属の植物。花茎が中空ではなく,開花は8月ころ,葉はそのあとに出る。
→関連項目バーバンク

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デジタル大辞泉プラス 「アマリリス」の解説

アマリリス

日本の唱歌の題名。フランス民謡に基づく。作詞:岩佐東一郎。原曲はルイ13世作曲との説もある。

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